戯言シアター#11 『最高の人生の見つけ方』

Movie culture
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「一寸先は闇」とはよく言ったもので、今どれほど順調でも、その先がどうなるかは誰にも分かりません。逆に、今が人生のどん底であっても、明日は何かの拍子でバラ色の世界が広がっているかもしれない。だからこそ人生は面白いし、前を向いて頑張ろうと思えるのでしょう。

とはいえ、誰もが「最後は幸せに終わりたい」と願うのは共通の心理ではないでしょうか。 いつ迎えるか分からない人生の最後。しかし、もしその時がある程度分かってしまったとしたら――? あなたなら、残された時間をどのように過ごしたいと思いますか?

戯言シアターへようこそ 案内人のサミっつーと申します。

本日は、『最高の人生の見つけ方』について語っていこうと思います。


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映画概要

基本情報

作品名『最高の人生の見つけ方』
公開日2008年5月10日(日本公開日)
キャストジャック・ニコルソン
モーガン・フリーマン他
監督ロブ・ライナー
エンドクレジットジョン・メイヤー「Say」
ジャンルヒューマンドラマ
上映時間97分

あらすじ

勤勉実直な自動車整備工と、大金持ちの豪腕実業家。出会うはずのない二人が、人生の最後に病院の一室で出会った。家族のために自分の夢を犠牲にして働いてきたカーター、そして、お金だけは腐るほどあるものの見舞い客は秘書だけというエドワード。お互いに人生の期限を言い渡されたという以外、共通点は何もない。そんな二人を結びつけたのは、一枚のリスト――棺おけに入る前にやっておきたいことを書き出した “バケット(ル:棺おけ)・リスト”だった。
「荘厳な景色を見る」「赤の他人に親切にする」「涙が出るほど笑う」……と、カーターは書いた。
「スカイダイビングをする」「ライオン狩りに行く」「世界一の美女にキスをする」……と、エドワードが付け加えた!
そうして始まった二人の生涯最後の冒険旅行。人生でやり残したことを叶えるために。棺おけに後悔を持ち込まないために。そして、最高の人生だったと心の底から微笑むために。
残された時間は6か月。でも、まだ決して遅くない――!

最高の人生の見つけ方 | ワーナー・ブラザース公式サイトより引用

予告映像

出典:余命6ヶ月、一生分笑う!!/映画『最高の人生の見つけ方』予告編(YouTube「アマゾンプラ男【毎日映画観る人】」より)
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感想&考察

感想

冒頭でも触れた通り、人生は何が起こるか分からないからこそ、「やりたいこと」は可能な限り実行に移すべきです。死ぬまでにやりたいこと、とまで大それたものでなくても、「これをやってみたい」「あそこへ行ってみたい」という小さな欲望は、誰しも心に秘めているものでしょう。しかし、それを実際にすぐ実行できるかと言われれば、話は別です。

作中の冒頭で、カーターが「やりたいことリスト(バケットリスト)」を作成したものの、自身の余命を突きつけられて一度はそれを諦めたように、私たちは無意識のうちに自分の行動にブレーキをかけています。大富豪エドワードのような圧倒的なパトロンの出現といった、人生を揺るがすほどの大きな転機でもない限り、普段の生活圏を脱して行動を起こすのは、多くの人にとって非常に難しいことではないでしょうか。

その一方で、たった一度きりの人生という限られた時間の中で、やりたいことをやれずに終わってしまうのは、あまりにももったいないと感じてしまいます。ここで少し映画からは脱線するのですが、この「人生のあり方」について、私の心に深く響いた言葉があるので紹介させてください。お笑いコンビ・春とヒコーキの土岡氏が、YouTube動画の中で語っていた言葉です。

人間って生まれてただ死ぬだけの動物じゃないですか、ポコポコ出てはまた消えていくだけの生き物。そのくせにその過程の部分に「人生」っていう名前を付けて格好つけているだけだ。とすると別にただ生まれて死ぬだけの動物でしかないと思ったら人生なんて全部意味はない。大人たちが言う「意味ある事・意味ないこと」とかじゃなくて全部平等に意味はないってなったときに全部に意味がないんだから自分の好きにすればいい。全部に意味はないから自分はこれに意味があると思うことで生きていい

この言葉が示しているのは、要するに「自分の人生をどう生きるかを決めるのは、やはり自分自身である」ということです。本作を振り返ってみても、2人の主人公ははじめ、他人の意見に流されたり、周囲の環境や義務に縛られたりしていました。しかし、余命宣告という最大のターニングポイントを境に、彼らは間違いなく「自分の意志」で動き始めました。

彼らが破り捨てかけたリストに並んでいたのは、他でもない自分自身の意志であり、願いです。エドワードの財力は、それをほんの少し手助けしたに過ぎません。冷めた言い方をすれば、人生そのものに最初から崇高な意味などないのかもしれません。だからこそ、人生の晩年に「あの時こうしていれば……」と後悔に暮れるくらいなら、「この先をどう生きようか」「自分の最後をどんな形で締めくくろうか」と思索を巡らせる方が、遥かに有意義です。本作は、そんな能動的な死生観について、私たちに深く考えさせてくれる珠玉の映画だと私は強く感じました。

見を聞いて動いた部分というのもあったかもしれないし決められたことに縛られている節というのが両主人公どちらもあったかもしれないただ一つのターニングポイントを境に自分の遺志で動き出していた部分というのも確かにあった。それこそやりたいことリストは自分の意志であり自分の思いである。たまたまそれを手助けしてくれる人がいただけのことである。人生なんてのは意味はなくくだらない。晩年にあの時こうすればよかったと思いふける暇があればこの先をどう生きようか、自分の最後をどんな形で締めくくろうか考えるほうがとても有意義なものであるとその死生観について深く考えるべきだとそんな風に考えさせる映画であるなと私は思いました。

小ネタ

余命半年を宣告された二人の男が、人生でやり残したことを記した「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」を実行していく名作映画『最高の人生の見つけ方』。

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという2大アカデミー賞俳優が魅せる最高のアンサンブルですが、実はスクリーンの一歩外側では、知られざる驚きのドラマやユニークな設定が隠されていました。

今回は、本作の裏話と小ネタを厳選してご紹介します!

念願の初共演!モーガン・フリーマンの「一本の電話」から始まった

これほどの名優コンビですが、実は本作が初めての共演でした。

元々、ロブ・ライナー監督から脚本を渡されたモーガン・フリーマンは、大富豪エドワード役に「ジャック・ニコルソンしかいない」と直感したそうです。そこでモーガンは、ジャックに直接電話をかけ、「僕と一緒に映画に出てくれないか」と直談判。

当時、少し俳優業をセーブし始めていたジャックでしたが、モーガンからの熱烈なラブコールに快諾。映画史に残る最強の凸凹コンビが誕生することになりました。

カーターの息子役は「本物の息子」だった!

劇中、モーガン・フリーマン演じるカーターの息子(ロジャー役)として登場する俳優に注目したことはありますか?

実はあの俳優、モーガンの実の息子であるアルフォンソ・フリーマンなのです。 顔がそっくりなのも納得ですが、劇中での親子の絶妙な空気感やリアリティは、本物の血のつながりがあったからこそ生み出されたものだったのですね。

ジャック・ニコルソンの「私物」がストーリーに影響?

ジャック・ニコルソン演じる大富豪エドワードは、トレードマークであるサングラスをよくかけていますが、あれはジャックの私物が多く含まれています。

また、エドワードのキャラクター設定(破天荒だけどどこか憎めない、最高級のものを好むなど)の多くは、ジャック自身のパブリックイメージや、彼自身のアイデアが現場で多く採用され、肉付けされていったと言われています。

劇中に登場する高級コーヒー「コピ・ルアク」の真実

映画のキーアイテムとして登場する、世界最高峰の超高級コーヒー「コピ・ルアク」。 ジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆という衝撃の事実が明かされ、二人が大爆笑する名シーンがあります。

  • 裏話: 実は、主演のジャック・ニコルソン自身も大のコーヒー通。しかし、この映画の撮影が始まるまで「コピ・ルアク」の存在やその衝撃的な製法を知らなかったそうです。劇中でのエドワードの驚きと爆笑は、ジャック自身のリアルなリアクションが地続きになっていたのかもしれません。

タイトル「The Bucket List」が社会現象に

原題の『The Bucket List』は、英語の俗語(慣用句)である “kick the bucket”(バケツを蹴る=死ぬ) からきています。「死ぬ前にバケツをひっくり返してリストを完成させる」という意味の造語として脚本家のジャスティン・ザッカムが考案しました。

今でこそ広く使われている「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」という言葉ですが、実はこの映画がきっかけで世界中に一般名詞として定着したという歴史があります。映画が文化を作った素晴らしい一例です。

考察

今回の考察では、主人公であるカーターの生涯に焦点を当て、「果たして彼の人生は幸せだったのか」について深く考えていきたいと思います。

映画の冒頭、カーターの若かりし頃が紹介されるシーンがあります。彼はもともと歴史学の教授を目指していましたが、当時交際していた恋人の妊娠をきっかけにその夢を断念せざるを得なくなりました。その後は「家族思いの良き父親」として実直に生きてきたものの、やはり心残りや諦めきれない夢が多くあったのは事実です。それは、彼が病室で書き連ねた「やりたいことリスト」の多さを見ても明らかでしょう。

さらに印象的なのは、エドワードから旅に誘われた際、カーターが妻の猛反対を振り切ってまで出発を決意した描写です。死が間近に迫ったことによる一時的な高揚感(ハイ)もあったかもしれませんが、それ以上に、これまでの人生に対する隠しきれない不満や、満たされない思いが心の底にあったからではないでしょうか。だからこそ、それまで赤の他人だった男の、突拍子もない誘いに乗ったのだと考えられます。

しかし、始まった旅も決して順風満帆ではありませんでした。価値観の違いからエドワードと激しく衝突し、一度は袂を分かつという経緯をたどります。後日、無事に和解を果たしたものの、カーターの病状は深刻化。結局、やりたいことリストをすべて叶えることはできず、残った夢をエドワードに託す形でその生涯を終えることとなりました。激動の終活を駆け抜けたカーターの人生は、果たして本当に幸せだったのでしょうか――?

私自身の答えを言うなら、カーターは「最高に幸せな最期を迎えた」のだと思います。もしエドワードに出会わなければ、彼は自分の人生を「夢を諦め、家族のために犠牲になった45年間」として終えていたかもしれません。しかし旅を通じて、自分の知識を輝かせ、本音をぶつけ合える親友を得た。そして何より、一度離れたからこそ「自分が本当に愛しているのは、あの退屈で愛おしい日常と家族だった」と気づくことができたのです。

やりたいことリストは未完成だったかもしれません。しかし、エジプトの神が問うという『自分の人生に喜びを見出せたか』『他人に喜びを与えたか』という2つの質問に、彼は最後の瞬間、胸を張って『イエス』と答えられたはずです。諦めた過去を呪うのではなく、最後に自分の手で人生の意味を書き換えた。だからこそ、彼の人生は美しく、幸せだったのだと私は強く信じています。

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作品をより楽しむために

ここからは、この作品のリメイクである日本版『最高の人生の見つけ方』について少し紹介していこうと思います。

💡 日本版『最高の人生の見つけ方』概要

ハリウッド版の「余命宣告を受けた2人の男性の友情」という骨組みはそのままに、主人公を「2人の女性」に大胆にアレンジ。日本映画界を代表する2大女優の競演によって実現しました。

  • 公開: 2019年10月11日
  • 監督: 犬童一心(『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』など、人間の機微を描く名手)
  • キャスト:
    • 剛田マ子(天海祐希): 大金持ちのやり手社長。仕事一筋で孤独、口が悪いが情に厚い。
    • 北原幸枝(吉永小百合): 人生の大半を家庭に捧げてきた真面目な主婦。自分のことは常に後回し。

家庭に尽くしてきた主婦と、社会の第一線で戦ってきた女社長。交わるはずのなかった2人が病室で出会い、ひょんなことから「12歳の少女が書いた、死ぬまでにやりたいことリスト」を拾ったことで、彼女たちの代理の旅が始まります。

🎨 オリジナルへの敬意と、日本版独自の「3つのアプローチ」

日本版の制作陣とキャストは、ハリウッド版の持つ「ユーモアと死生観」に最大限の敬意を払いながら、日本人にしか響かないエッセンスを注ぎ込みました。

① 「12歳の少女のリスト」という優しい改変

ハリウッド版では大富豪の財力に任せてド派手なロマンを追い求めますが、日本版の2人が実行するのは「パフェをたらふく食べる」「スカイダイビングをする」「ももクロのライブに行く」といった、どこか愛らしい少女の夢です。 これにより、主婦と女社長という大人の女性が「かつて置き去りにしてきた少女のような純粋な輝き」を取り戻していく物語へと昇華されています。

② 主演2人の「映画界」への敬意と覚悟

日本映画界のレジェンドである吉永小百合さんと、圧倒的なカリスマ性を持つ天海祐希さん。この2人のキャスティング自体が、名優ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンに対する日本からの最高のアンサーでした。 劇中、吉永小百合さん演じる幸枝が、天海さん演じるマ子に引っ張られるようにして新しい世界へ飛び込んでいく姿は、実年齢やキャリアを超えた2人の強い信頼関係(バディ感)がスクリーンから溢れ出ており、オリジナルに劣らない最高の化学反応を見せてくれます。

③ 「自己実現」から「次世代へのギフト」へ

ハリウッド版が「自分の人生をどう全うするか」という個人の引き際にフォーカスしていたのに対し、日本版は「残される家族への愛」や「次の世代へ何を受け継ぐか」という、日本人が大切にする“絆”の物語に綺麗にシフトしています。 旅の終着点で明かされる、少女のリストに隠された「最後の願い」の真実には、オリジナル版のファンであっても涙を禁じ得ない、日本版ならではの深い優しさと敬意が込められています。

映像のトーンについて: 監督の犬童一心氏は、シリアスになりがちな「闘病」や「死」というテーマを、あえて日本の美しい四季の移り変わりや、色鮮やかな美術(ももいろクローバーZの実際のライブ空間をそのまま使った圧巻のシーンなど)を用いて、ポップで温かい映像に仕立て上げました。

オリジナル版へのリスペクトがあるからこそ、設定を日本に置き換えた時の「違和感」を徹底的に排除し、一つの独立した感動作として見事に完成されています。

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参考文献

最高の人生の見つけ方 | ワーナー・ブラザース公式サイト

最高の人生の見つけ方 – Wikipedia

この春から晴れてニートになった君たちにニート歴3年の土岡が現実を全部教えます【徹底解説】

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